睡記

すっぽこ管理人睡の暮らしと読書。読書したりぼーっとしたり、たまに物を作るかも知れません。
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ま行の作家さん12 / 01 [ Mon ] 20:44 編集

日暮らし 宮部みゆき

higu


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・読んでからかなり時間が経ってます。

・住人が次々消えてゆく鉄瓶長屋の事件から一年が経った頃、ぐうたら同心・井筒平四郎と彼を取り巻く人たちの前に、再び新たな事件が持ち上がります。多くの人の運命を変えた女・葵が殺されたのです。どうやら「鉄瓶長屋事件」に絡んだ湊屋の因縁が原因らしいのですが…。

・いや〜、相変わらずほこほこした読後感。ミステリなのに!人死んでるのに!井筒平四郎に弓之助、おでこ、お徳、葵といった登場人物のほとんどが善人。すてき。

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ま行の作家さん09 / 15 [ Sat ] 20:22 編集

この世の彼方の海―永遠の戦士エルリック〈2〉 マイケル・ムアコック

eruric2

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・〈永遠の戦士エルリック〉の新版2冊めです。
 1冊め『メルニボネの皇子』で生き物の魂を啜る魔剣ストームブリンガーを手に入れ、砂漠の国では美しい〈夢盗人〉と共に夢の世界を冒険したエルリックですが、2巻になってメルニボネに戻った後も厳しい旅は終わりませんでした。

・「なぜ自分は生きているのか、生に意味はあるのか、自分の行為が己から出た物であると断じることは出来るのか?」大ざっぱに言ってしまえば、自分の存在意義を探すエルリックの冒険はますます彼にとって辛いものになっていると感じました。話がいちいち後味悪く終わるのも気持ち悪いし。登場人物の誰にとってもハッピーエンドじゃないところがこのシリーズの特徴のひとつで、物語を奥深くしてるんだろうけど。

・にしても、エルリックが前に比べて随分メルニボネ人らしくなったと思いました。1巻同様自分の中に流れるメルニボネの血と、それを厭わしく思う気持ちの中で揺れ動いてはいるのだけれど、それがメルニボネ人らしさの方へ―別の言い方をするなら〈混沌〉の方へ―傾いているような。自分やその時組んだ仲間に危害を加えた相手に対する報復の仕方の派手なこと!内省的なのは相変わらずですが、立ち居振る舞いは高慢で厭世的。そんでシニカル。服の趣味も相当悪いし(笑)。白と青のチェックの胴着に真紅の洋袴…ありえない組み合わせだ…。
 中編<夢見る都>で再び帝位を簒奪した従兄弟イイクルーンに対する復讐の中でサイモリルストームブリンガーの犠牲にしてして以来、遭遇する数々の事件のおかげでだいぶ雰囲気が変わってしまいました。1巻の悩める哲学者風がよかったぁ…。
 エルリックとしては自分に近づいてくる人をストームブリンガーの犠牲にしたくないという思いがあって、敢えて嫌な奴を演出しているつもりみたいなんだけどかなりの嫌な奴っぷり。1巻との落差に驚きました。

・このシリーズ、私は新版からの読者なんですけど、旧版だとまた違うくくり方になってるみたいですね。もともと本国でも物語の時系列順に話が書かれたというわけでもないみたい。世界観に多少のブレのようなものがあるのはそのせいでしょうか。続きはもう少し歳とってから読んだ方が面白いかも知れない^^;。

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ま行の作家さん09 / 02 [ Sun ] 01:28 編集

メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 マイケル・ムアコック

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・「古王国記」以来ファンタジーって読んでないわー(あ、水滸伝もファンタジーか?)、ということで〈永遠の戦士エルリック〉シリーズ。例によって私は全く知らなかったんですが、ムアコックさんて有名な方らしく、知ってる本屋さんにはどこも置いていました。〈氷と炎の歌〉シリーズで挫折した過去を思い出しながら購入。ぶぶ分厚い…。でも表紙はどの巻も美しいですねー。5巻の表紙が好きです。

・この巻には表題作『メニルボネの皇子』、砂漠の民を救うため、夢盗人と夢の世界に冒険に出る『真珠の砦』の2つの物語が収録されています。

・かつては世界中を力と恐怖で支配していたメニルボネ帝国ですが、エルリックが皇帝になった今では首都イムルイルのある竜の島のみを領土とする、弱小とはいわないまでも小さな国となっていました。財宝の眠る伝説の国、くらいの扱いです。
 メニルボネ人特有の残酷さ、好戦的な性質を表に出さず、本を愛し、思索にふけるのを好む…色々な点でメニルボネ人らしくない皇帝エルリックのことを多くの人は変わり者だと思っています。その中でも婚約者サイモリルの兄であり、エルリックの従兄でもあるイルルクーンは特に彼を憎み、自分こそがルビーの玉座に相応しい、とエルリックに反旗を翻します…(『メルニボネの皇子』)。

・エルリックは作中でも“白子”という三人称で書かれることがあるんですけど、乳白色の髪に骨のように白い肌、深紅の瞳を持っていて、外見上も普通のメニルボネ人と違うんです。ああ美しいなあ。で、この外見は他のキャラとは彼は違うんだ、という作者のアピールでもあると思うんですが^^;血統の良さは勿論、他と比べてずば抜けて魔法に通じているし、剣術だって相当なもんです。私はネットゲームをする時、趣味でよく細身のキャラに長剣とかでかい武器を持たせますが、そのまんまの容姿なんですね。ストライクゾーンど真ん中。
 でも…虚弱体質。冒険の最中も強壮剤をしょっちゅう飲んでます。メニルボネ人として虚弱なのかと思いきや、薬がきれると本当にダメダメになるんです。砂漠の真ん中で薬をきらして行き倒れたり、文字通り死にかけちゃう。

・でもそんな体に宿っているエルリックの精神の方は、自身の弱い体や人の魂を吸い取る魔剣・ストームブリンガーを制御しようと努力できる強靱さを持っています。常に善くありたい、その真摯さが竜の島の外を旅し、斜陽の帝国となってしまったメニルボネ帝国のためになる何かを学びに行きたい、という衝動を引き起こすのです。1年って期限はきったけど、皇帝の座を捨てて単身知らない国に行くって凄いことですよね。

・メニルボネ人としての誇りとその頽廃的な文化への嫌悪感、ストームブリンガーの力を厭わしく思いながら、魔剣の力がないと生きていけない体の弱さ等々色んな思いの中でもがくエルリックの生き方は、「○○な人」ってわりとひと言で表せちゃう、小説世界の住人の中ではいちばん人くさいのかも。

・メニルボネの首都であり、〈夢見る都〉という異名を持つイムルイル、ストームブリンガーが安置されていた〈脈打つ洞〉、砂漠の町クォルツァザート、それから夢の世界等々、観光的にも(笑)見所たくさんのエルリックの旅、これから楽しみです。

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ま行の作家さん04 / 15 [ Sun ] 13:30 編集

あかんべえ 宮部みゆき

akanbee


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・おりんは本所の料理屋「ふね屋」の一人娘。両親が開いたこのふね屋,開店直後からおかしなことが立て続けに起こります。
 そんなある日、おりんは熱を出して寝込んだとき、夢の中で不思議なおじいさんに出会い、それからというもの、「ふね屋」の怪現象の原因である5人の「お化けさんたち」が見えるように。しかし、彼らはどうして自分たちがふね屋に憑いているのか,そもそもどういう状況で自分たちが死んだのか,さっぱり覚えていません。彼らについておりんが調べるうち,30年前の恐ろしい事件が浮かび上がり…。

・「あかんべえ」,宮部さんの作品の中でも1、2を争う好きな本になりそうです。現代ものは救いのない感じの話が多いのだけれども,時代ものはどの作品も暖かい読後感で,私はそこが好きです。

・女の子(女性全般w?)が好きな玄之介,子ども好きなおみつ,無愛想だけれども腕は確かな按摩の笑い坊,正体不明の浪人・おどろ髪,それにおりんを見ると「あかんべえ」をする子どものお化け・お梅たち5人たちがとても生き生きしていて,お化けのくせに地に足ついてるような存在感がイイ!
 ふね屋を切り盛りする人たちのドラマも見物です。誰もが色々な思いを背負って生きているんですね。

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ま行の作家さん04 / 13 [ Fri ] 16:00 編集

双子幻綺行―洛陽城推理譚 森福都

sousi

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・物語の舞台は8世紀頃の中国。唐王朝を治めていた夫亡き後,帝位についた我が子を無理矢理退位させ,自ら皇帝となった聖神皇帝―則天武后という名前の方が知られているかも知れません―の時代です。この時国名は唐ではなくて「周」。少年宦官と女官として王朝に仕える双子の兄妹・九郎と香蓮が主人公。

・私はライトノベルから活字本に入ったので,人の欲望が渦巻く宮中で,互いの信頼だけを武器に数々の事件を解決する美しい双子…とくれば,なんだか軽〜いファンタジー小説のようなイメージを抱いてしまうんですけど,本作は「推理譚」だけあって,ミステリィの部分がしっかり書き込まれています。この設定に「えー」と思ってる方,第一話だけ読んでみてください!という感じ。兄・九郎の推理と話の意外な結末に,続きが気になるはず^^。

・ああいう設定にも関わらず(森福さんすいません…)この作品が適度な重さを持っているのは,やはり舞台や脇役たちの本物さ加減でしょうか。
 舞台については,実際の周の頃の区画図が使用されており,季節によって様々に風景を変えていきます。春は池の畔の死体と真っ赤な躑躅,夏は氷の昇竜,秋は菊,他には大きな真珠,正月の縁起物,琥珀糖。中国と聞いてイメージする,鮮やかな色が目に浮かびます。
 
・人物についても,宮中で熾烈な出世争いを繰り広げる臣下の者は勿論,遊郭の姐さんや双子の後見人,勿論則天武后も,地に足がついた,とても生き生きとした様子に描かれています。 皇帝は特に,世界史の教科書を見ている限りではまるで悪役のようなんですが(まぁ実際帝位を横取りしてるので,見方によっては悪役なんですけど),ちゃんと仕事して,周りに尊敬されてるんです。確かにすごく怖い人だけど,政治の能力はあるし信頼もできるんだよね,みたいな感じ。
 
 この双子,実は世界史の教科書にも出てくる人物がモデルになっています。こういうまとめ方があるんだ…!と驚きました。

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